絶唱
ベトナム・カンボジア・ミャンマー方面を取り扱う東南アジアのオペレーター「クリエイティブジャパン」のWAKAMEです!
本を1冊読み終えました。今回は湊かなえさんの「絶唱」です。
阪神大震災の被災経験者であり、トンガ王国・1人の女性「尚美さん」との関わりのある
4人の女性がそれぞれの章のそれぞれの主人公です。
1章の主人公は双子の妹を阪神大震災で亡くし、その時のつらく悲しい記憶を引きずって生きていました。自分の心の整理をするためにトンガに行って異国の人々と出会い、色々な思い、心の闇を浄化します。
2章の主人公はトンガに赴任した国際ボランティア隊の一員の女性です。この方は友人・恋人との関係で悲しい記憶を持ち、阪神大震災の被災者でもあります。
トンガでそんな過去の心の整理をして新しい1歩を踏み出します。
3章は若いときに無責任な男性との間に子供が出来て、その子供を出産して一人で育てている女性が主人公です。彼女自体が幼少の頃に震災を経験しました。その時に触れあった大きな愛情が忘れ
られず、その愛を求めてトンガへの旅を決めます。
子供を育てることへの疲れや自分自身がまだ子供の精神のままであることに気づき、心を改めて新しい1歩を歩むことができました。
4章は作家になった女性が主人公です。この方は学生時代に経験した震災で友人へ不義理をしたことを思い悔やみ続けます。自分を表現することがうまくできず、人との関わり方に迷いを感じていました。トンガに青年海外協力隊の一員として参加したときに知り合った「尚美さん」のサポートを受けて自分が表現できる方法を見つけます。
この4章は読んでいて感じましたが、もしかすると作者の湊かなえさんご本人がモデルなのではないか?と思いました。
それぞれの人生を見て感じて、阪神大震災のリアルな状況を読んで、私自身も関西方面の出身なので当日の揺れを感じ恐怖を知っている一人です。
この恐怖の記憶は忘れる事なく、改めて今生きている事自体が幸せだと、読み終えて私は絶唱しました。
